2011年6月6日月曜日

宮古島 祈りの旅 神と出会うまで 7

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八重干瀬を後に今日からの宿泊先である宮古島市内のコンドミニアムへ。

素敵な家を丸ごと貸切である。


夕方は書店での吉岡さんの講演会。

地元の方々が熱心に傾聴。ちょっとした個人カウンセリングもあった。


夜は、吉岡さんの知人が経営する居酒屋で宴会。


宿舎に戻り、更に夜の勉強会。

その時間はお酒も入り、リラックスモードで雑談をする。
開放度が上がる分、本音の話や、深いところの話にもなりまた有意義なのだ。

話の頃合いを見計らっては吉岡さんが学びのヒントを与える。

途中、何かのテーマで各人に発言を促されるが、私はこの時、「変性意識状態」(トランス)に入っていた。

身体的自己感覚が薄れ、意識のみが際立って明晰な感じだ。

この状態になったのはお酒によるリラックス効果もあるかもしれないが、お酒を飲んだからと云って普通になるものではない。私にとっても初めての体験である。

そして、以降、昼夜を問わず度々トランスするようになっていた。


発言が自分の番に回るが全く声が出せない。

心の中では話せるので、「吉岡さん、声が出せません。この状態で会話して下さい!」・・・とお願いしてみた。

すると即座に「分かった!」と返事。皆に、「勝っちゃんは今、深い瞑想状態に入っている」と告げ、更に、「じゃあ、こちらから聞くから返事だけして」と伝えられる。

心の中で「ハイ!」と答えた私に、「明日の御神事で重要な役目をしてもらうが、心を決めてやるか!?」・・・と聞いてくれ、「ハイ!」とだけ答える。

しかし、これは大変な決断をせまられる問いで、何も分からない私が、神事(かみごと)の世界にデビューする事なのだ。(既に参加はしているが・・・。)

しかも、「明日の御神事」と云うのは、地元の神人(かみんちゅ)でさえ容易に足を踏み入れない、畏れ多き神の島、「大神島」での御神事なのだ。

そこは宮古島の全ての神々を統合し、天照大御神の降臨伝説が残る聖地中の聖地だ。

何故か私は「大神島」に特別な思いがある。とにかく魅かれてやまない強烈な片想いの様な憧れがその島にある。

この旅の事前、敢えて吉岡さんに、「今回、大神島へは行きますか?」と尋ねた程、実は何処よりもそこへ行きたかったのだ。

恋焦がれるその島で間違いは許されない・・・!


常々吉岡さんや、その世界の先輩たちに、いくら精神世界の勉強を続けても肝心の意識覚醒、神意識の知覚が起こらない悩みを打ち明けていた。

吉岡さんにはかなり以前、「八重干瀬で開く」とか云われていたがそんなことも忘れていた。

意識覚醒なくして御神事になど携われないと思っている。


「ハイ!」とは答えたものの、不安で一杯の私を察し、吉岡さんが優しく続ける。

「もうあなたはさんざん修行して来た。もう何も学ばなくて良い。何も見えず、何も聞こえなくて良い。ただ楽に、ありのままの素直な自分でいてごらん。」・・・・・・涙があふれ、止まらない。


私は10代の頃から精神世界の探究をして来たが、何か一つの事をやり続けた訳ではない。常に全体を眺めて色々なものを試したり、聞きかじったり、色んな方々にお会いしたりしていただけで、ある種、趣味の様なものだったのである。

なので自分としては修行したと云う感覚は全く無かった。それをそう言ってもらえた事は、無駄にも思える過去の全てを肯定してもらえた事なのだ。

山の頂を目指すのに、地図を持って進むのか、感覚だけを頼りに進むのかの違いかも知れない。


最後に、「神に命を捧げます!」と宣言。ほどなく会はお開きとなる。


部屋に戻りウィスキーで高ぶる気持ちを鎮めてゆくと矢張り不安が心を支配して行く。


時は深夜、お疲れであろう事は承知の上で、階上の吉岡さんの部屋をノックしてしまう。

部屋に入ると姿勢を正した吉岡さんが書き物をしている。

終わるのを待つと、「これ、勝っちゃんに書いてたんだっ」と紙を手渡される。まるで私が尋ねるのを知っていたかのようだ。


そこには、「あなたを産み、苦しみ、育て上げた母の愛を忘れるな!」・・・「母神を信じなさい!」と云うメッセージが綴られていた。

命を捧げるとか云う特攻精神はやめなさい、母神を悲しませてはいけないよ、と云う諭しであった。・・・再び滂沱の涙である。

しかし尚、不安でたまらない自分をさらけ出す。

僕は吉岡さんの様に意識覚醒していないし、神の声も聞こえない。自分に出来るのだろうか?・・・吉岡さんは凄い!。私の様に何も力が無いならば命を捧げるくらいしか出来ないではないか!・・・と。

・・・あくまでもその人は優しい。

「勝っちゃん、俺が凄いんじゃないんだよ。俺は俺の役目として裏をやっているだけなんだ。勝っちゃんは勝っちゃんで、自分なりに表をやれば良いんだよ・・・。」

言葉の意味は後で解るが、ただただ伝わる優しさに感謝し部屋に戻る。

眠れぬまま夜を過ごした・・・。


※ 一連のこの手記は、私の体験を通した私の事でしかお伝えできませんが、実際には参加者全員が皆其々の体験をして居ります。私の視点と云う偏りがある事をお伝えしておきます。

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